開発AIエージェント「Roo Cline」で開発効率アップ!導入方法から使い方まで徹底解説

こんにちは!サステックスの後藤です。
本記事では最近話題になっている開発AIエージェント「Roo Cline」を分かりやすく紹介していきます。
ソフトウェア開発の現場は昔からコーディング効率化のため、様々なアシスト機能が充実しており、特に近年ではLLMなどの生成AI技術の進化によりAIによるコード補完や開発効率化が進み、大幅に効率を向上するツールが登場しています。
その中でも注目されているのが、開発エージェントと呼ばれるツールです。
開発エージェントとは、AIを搭載したソフトウェアで、開発者の指示に従ってコードの生成、テスト、デバッグなど、様々なタスクを自動的に実行します。
本記事では、開発エージェントの一種であるRoo Clineについて、その導入方法から使い方までを徹底解説します。Roo Clineは、Clineをベースに開発されたオープンソースの開発エージェントで、GitHub上でも公開されています。
Roo Clineとは?
Roo Clineはコーディング能力を備えた開発AIエージェントで、Visual Studioの拡張機能として動作します。複雑なソフトウェア開発タスクをステップごとに進める事が可能で、従来のコード補完を超えたアシスト機能を提供しています。
具体的には、以下の様な機能があります。
- コードの自動生成: 開発者の指示に基づいて、コードを自動的に生成します。
- テストコードの作成: 既存のコードに基づいて、テストコードを自動的に生成します。
- バグの修正: コードのバグを自動的に検出し、修正案を提案します。
- ドキュメントの生成: コードに基づいて、ドキュメントを自動的に生成します。
元々はCline(CLI aNd Editor、旧名Claude Dev)というプロジェクトを元にフォークされて開発が進められており、名前の通りClaudeを使用することを想定して開発されたプロジェクトとなっています。
Roo Clineの導入方法
Roo Clineを導入するには、以下の手順に従います。
- VSCodeの拡張機能マーケットプレイスで「Roo Cline」を検索します。
- 「インストール」ボタンをクリックして、Roo Clineをインストールします。
- インストールが完了したら、VSCodeを再起動します。
ちなみに私はCursorをメインエディターとして使用しているため、Cursor上でRoo Clineをインストールしています。Cursor自体もVisual Studio Codeをフォークして作られたエディターのため、VSCodeの拡張機能もCursor上にインストールする事が可能です。
次に、コマンドパレット(Windows/Linux: [Ctrl]+[Shift]+[P]キー、macOS:[Command]+[Shift]+[P]キー)を表示し、「Roo Cline」と入力して、「Roo Cline」を表示します。
次にどのLLMを活用するかを設定します。
Cline同様に以下のAPIプロバイダーをサポートしています。
- OpenRouter
- Anthropic
- OpenAI
- Google Gemini
- DeepSeek
- AWS Bedrock
- OpenAI
- OpenAI Compatible
- GCP Vertex
- LM Studio
- Ollama
Cline自体が元々Claude Devという名前である事から分かる通り、AnthropicのClaudeが最も相性が良いとされているようです。
ただし、費用もその分掛かるため、この記事ではDeepSeekを使用しています。(ただし、一部の機能の使用が限定されてしまいます。)
{DeepSeekの記事はこちら}
API keyに関しては、各API ProviderのサイトにてAPI取得をする必要があります。
Roo Clineの使い方
Roo Cline上でタスクを入力すると、AIが特定のコマンドを実行する前に確認が行われます。ユーザーはAIエージェントが実行するステップが問題ないか、確認を行ったあとに、実行の許可を行います。設定で承認なしで実行する事も可能ですが、まずはこのまま進めていきましょう。今回はあくまでも簡単なサンプルタスクとして「TODOアプリを作ってください。」という簡単なタスクでお願いをしています。
タスクの実行内容を確認後、各ステップに対して承認をしていきます。
TODOリストはとても簡単なアプリのため、これだけで簡単に作成する事が出来ます。
また、Roo Clineは特殊な命令を追加しているため、チャットウィンドウ上でコンテキストの追加を行う事ができます。
@file: 特定のファイルのコンテキストとして追加。
@folder: 特定のフォルダ内のファイルを、一括でコンテキストとして追加。
@url: 指定したURLの内容を取得して、Markdown形式に変換し、コンテキストとして追加。
@problems: エラーや警告を一覧化して、コンテキストとして追加。
また、Roo Clineにはより効率的にコードを編集するための便利な機能が備わっています。
- diffモード: diffモードを有効にすると、変更されたコードブロックのみが表示されます 。大きなファイルを編集する際に、変更箇所を把握しやすくするのに役立ちます。
- 履歴からのプロンプトコピー: 以前使用したプロンプトを履歴から簡単にコピーすることができます。同じようなタスクを繰り返し実行する場合に便利です。
Roo Clineのメリット
Roo Clineを利用することで、以下の様なメリットを得られます。
- 開発効率の向上: コードの自動生成、テストコードの作成、バグの修正などを自動化することで、開発プロセスを効率化し、開発時間を短縮することができます。
- コード品質の向上: AIがコードの品質をチェックすることで、バグの発生を抑制し、コードの品質を向上させることができます。
- 開発コストの削減: 開発時間を短縮することで、開発コストを削減することができます。
- YAMLファイル作成やDockerビルドの自動化: Roo Clineは、YAMLファイルの作成やDockerビルドなど、これまで手作業で行っていたタスクを自動化することができます 。これにより、開発者はより重要なタスクに集中することができます。
ClineとRoo Clineとの比較
基本的にRoo Clineの方が機能はリッチで速度も早いです。
ただし、Clineからフォークして開発を進めており、機能も実験段階のものが多いため、安定性や今後のClineの開発次第では別のライブラリが主流になっていく可能性もありえそうです。
以下は簡単なCline/Roo Clineとの比較表となります。
特徴 | Cline | Roo-Cline |
タイプ | CLI アプリケーション構築ライブラリ | Cline のラッパー |
リポジトリ | cline/cline | RooVetGit/Roo-Cline |
主な機能 | コマンド定義、フラグ処理、ヘルプ生成、環境変数 | Cline の機能 + テスト容易化、ユーティリティ関数 |
テスト容易化 | 限定的 | 容易 (出力のリダイレクト、モック化) |
用途 | 基本的な CLI アプリケーションの構築 | テストを重視した CLI アプリケーションの構築 |
開発効率アップに繋がるRoo Clineの活用事例
Roo Clineは、様々な開発シーンで活用することができます。以下に、具体的な活用事例を紹介します。
- Webアプリケーション開発: Webアプリケーションのフロントエンドやバックエンドのコードを自動生成することができます。
- モバイルアプリケーション開発: モバイルアプリケーションのUIやロジックのコードを自動生成することができます。
- ゲーム開発: ゲームのキャラクターやステージのコードを自動生成することができます。
- データ分析: データ分析に必要なコードを自動生成することができます。
- 機械学習: 機械学習モデルのトレーニングや推論に必要なコードを自動生成することができます。
- MCPファイルシステムの刷新: Roo ClineとDeepSeek V3を組み合わせることで、MCPのファイルシステム環境を刷新することができます 。これは、従来の手作業に比べて、大幅なコスト削減と時間短縮を実現することができます。
まとめ
Roo Clineは、開発プロセスを自動化し、開発効率を大幅に向上させることができる開発エージェントです。
VSCodeユーザーであれば、簡単に導入して利用することができます。
Roo Clineは、まだ開発中のツールですが、Clineをベースに活発に開発が行われており、今後の発展が期待されるツールです。開発効率の向上やコード品質の向上を目指している開発者は、ぜひRoo Clineを試してみて下さい。
Roo ClineのGitHubページや公式ドキュメント、チュートリアルなどを参照することで、より深くRoo Clineについて学ぶことができます。
参考資料
Roo Cline GitHubリポジトリ: https://github.com/RooVetGit/Roo-Cline