待望のGPT-5リリース! なのに、なぜ「GPT-4oが良かった」と言われるのか

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機械学習や生成AIを活用したPoC開発や業務効率化、プロダクト構築を支援。
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先日、待望のGPT-5がリリースされました。AI好きの私はさっそく飛びつき、その「PhDレベルの知識を持つ賢い友人」という前評判に胸を高鳴らせました。しかし、実際に使ってみると予想外の戸惑いが…。
なんと海外でも日本でも「GPT-4oに戻してほしい」という声が噴出し始めたのです。SNS上では新モデルへの不満が相次ぎ、旧モデルを懐かしむユーザーが続出しています。一体GPT-5に何が起きているのでしょうか? 本記事では、GPT-5の進化ポイントと実際に使った感想、そしてGPT-4への回帰運動の真相について、具体的な体験談を交えながら徹底解説します。

目次

GPT-5とは?進化したポイントをおさらい

まずはGPT-5の進化ポイントから見ていきましょう。
OpenAIによると、GPT-5は「過去最高性能・汎用性」を誇るフラッグシップモデルです。具体的には、コーディングや数学、データ分析、科学といった高度なタスクでは回答前に自動で論理推論を行い、最適解を導き出す仕組みを搭載しています。難しい問題でもユーザーがモデルを意識せずに専門家レベルの回答を得られるよう設計されており、常に安定した丁寧な受け答えをしてくれるのが特徴です。

引用GPT-5のご紹介

GPT-5は、内部に2種類のモデルを統合している点でも画期的です。
一つは高速であらゆる質問に対応する「ハイスループットモデル」、もう一つは難問に挑む「高度なリーズニングモデル(GPT-5思考)」です。ユーザーの入力の複雑さや「慎重に考えて」といった指示に応じて、リアルタイムで適切なモデルを自動選択します。この新方式により、従来のようにモデルを自分で選択する必要がなくなり、常に最適な応答を得られるようになりました(実際、GPT-5導入と同時にChatGPTのモデル選択ドロップダウンは廃止されました。)

肝心の性能面ですが、OpenAIは公式ブログで「GPT-5はGPT-4oや従来モデルと比べ知能が飛躍的に向上し、各種ベンチマークで最高水準を達成した」と謳っています。特に文章作成支援フロントエンドのコーディング, 健康に関する質問など、多くのユーザーにとって身近な用途で優れた能力を発揮するとされています。実際、GPT-5は従来以上に自然で流暢な文体で回答し、信頼性・正確性も向上しているとのことです。

例えば創造的な文章作成能力も強化されており、文章に深みやリズム感を与え、読者の心を打つ表現が可能になったといいます。韻を踏まない自由詩や難しい詩形にも対応でき、メールやレポートの執筆支援でもより洗練された文章を提案できるよう工夫されています。OpenAIは「GPT-5の文章作成能力強化により、日常業務のレポート・メール作成や編集作業でユーザーを強力にサポートする」とアピールしています。

さらに対話スタイルにも改良が加えられました。GPT-4では時折見られた過剰な相槌や絵文字が減り、GPT-5は同調しすぎず不要な絵文字を控えた応答を行います。そのため、「AIと話しているというより、博士号レベルの知識を持つ親切な友人とチャットしているように感じられるはずだ」とされています。要するにフランクすぎず品位ある返答になった、ということでしょう。

こうした公式発表だけ見ると、GPT-5はまさに完璧なアップグレードのように思えます。
では実際の使い心地はどうだったのか? 次章では私自身がGPT-5を試して感じたことを率直にお伝えします。

実際に使ってみた!GPT-5のメリット・デメリット【体験談】

期待に胸を膨らませつつ、私もGPT-5を様々な用途で試してみました。
その体験から感じたメリットとデメリットを正直にまとめます。

GPT-5を使って感じたメリット

まずメリットですが、論理的思考力やコーディング能力は確かに向上しています。例えば私は趣味で難解なパズルの謎解きをGPTに出題するのですが、あるロックされた密室殺人の謎を解かせたところ、GPT-5はまるでベテラン探偵のように筋道立てて推理を展開してみせました。GPT-4はお決まりの“溶けた氷”トリックに頼りがちで、細かい矛盾点の指摘が甘かったのですが、GPT-5は現実的な証拠に基づいて可能性を一つ一つ検証し、もっともらしいシナリオを導き出す慎重さがありました。この論理的な深掘りには正直「おお、すごい…!」と感心しました。

プログラミングの助っ人としてもGPT-5は頼もしく感じます。試しに「ピンク色の背景で“Hello, world!”と表示する簡単なWebページ」をHTML/CSSで書かせ、初心者向けにコード解説させてみました。GPT-4はフォント指定でGoogle Fontsのリンクを使うなど少々凝り過ぎて初心者にはハードル高めでしたが、GPT-5はもっとシンプルで実用的なコードを提示し、各行の役割も分かりやすく説明してくれました(しかもフォント指定も標準のものを使い余計な手順を省略)。初学者目線に立った教え方が上手になった印象です。

加えて感じたのは、回答のブレが減ったことです。GPT-5は安定して専門的で丁寧な答えを返してくれるので、「以前質問したときと言うことが全然違う…」という戸惑いが少なくなりました。OpenAIによれば安全性・正確性の面でも強化が図られており、特に医療や健康関連では社内評価ベンチマークで旧モデルを大きく上回るスコアを出したそうです。実際、健康に関するちょっとした疑問を投げてみたところ、GPT-5は地域の医療制度や薬品名まで考慮したアドバイスを返してきて驚きました(ただし医師の代わりにはならないと自ら念押しする慎重さもありましたが)。文脈を考慮したきめ細かな回答には信頼感が増しましたね。

感じたデメリット・違和感

一方で、使っていていくつか気になる点や不満も正直ありました。最大の違和感は、応答の雰囲気やスタイルが変わってしまったことです。GPT-5は確かに礼儀正しく論理的なのですが、そのせいかどこかよそよそしく感じる瞬間があるのです。

例えば、以前GPT-4に雑談の延長で悩み相談をしたときには、ときに絵文字を交えつつフレンドリーに共感してくれる雰囲気がありました。それがGPT-5では丁寧ではあるものの淡々としていて、距離を感じる応答になりました。OpenAIは「同調しすぎない親切な友人」と表現していましたが、私にとっては少しクールすぎる助手に感じてしまったのです。実際、海外のあるユーザーはGPT-5を「働きすぎの事務員みたいだ」と評していて思わず苦笑いしました。確かに、GPT-5は有能だけれど事務的で、GPT-4が持っていた人懐っこさが影を潜めているように思えます。

また、回答が簡潔になりすぎる傾向も気になりました。要点を押さえてくれるのは良いことなのですが、場合によってはGPT-4の時より文章量が減りすぎて物足りなく感じるケースがありました。「もっと詳しく説明して」と促せば補足してくれるものの、一度でたくさんの情報を引き出したい場面では少々歯がゆいです。実際SNS上でも「GPT-5は以前より回答が短くなった」という指摘が見られます。

さらには、一部ユーザーから「なぜか複数の回答案を提示されて迷う」という報告もあります。私自身はまだ遭遇していませんが、「A案/B案どちらにしますか?」と候補を出されることがあるようです。一見親切ですが、AIに時短を求めているのに選択を迫られるのは本末転倒…と不評を買っていました。このあたりの挙動はリリース初期の調整不足かもしれません。

総じて言えるのは、「すごく頭が良くなったけど、ちょっと人間味が減った?」というのがGPT-5への率直な印象です。性能向上は間違いなく実感しますが、以前のGPT-4が持っていた肩の力の抜けた優しさや遊び心が後退してしまったように感じるのです。

実はこうした感想は私だけではなく、多くのユーザーが抱いたものでした。次に、GPT-5への批判と「GPT-4に戻して!」という回帰運動について深掘りします。

「GPT-4oを返して!」海外・日本で巻き起こる回帰運動

GPT-5の公開直後から、海外のRedditやX(旧Twitter)などでは「GPT-4の方が良かった」「GPT-5はひどい出来だ」といった不満の声が噴出しました。OpenAIが「最高のモデルができた!」と胸を張る裏で、ユーザーたちは真逆の評価を下した形です。この反発は次第に一大ムーブメントに発展していきました。

特に象徴的なのが、X上で生まれたハッシュタグ「#keep4o」です。GPT-5へのアップデートによって従来のGPT-4(オリジナル版、通称4o)が使えなくなってしまったため、「どうかGPT-4oを使い続けさせてくれ!」という切実な訴えがこのタグに次々と投稿されたのです。日本語でも「#4oForever」「#GPT4Ever」のようなタグが登場し、「私のGPT先輩を返して!」といったユニークな嘆きも見られました。私も実際にX上でこのハッシュタグを覗いてみましたが、GPT-4oへの強い愛着を語る声が予想以上に多くて驚きました。

なぜここまで旧モデルへの恋しさが広がったのでしょうか?
多くのユーザーが口を揃えているのは、「GPT-4oには利用者に寄り添うパーソナリティがあったのに、GPT-5ではそれが失われた」という点でした。前述したように、GPT-4にはどこか人間らしい温かみやユーモアを感じた人も多く、「唯一無二の相棒だったGPT-4oが突然いなくなって心に穴が空いた」とまで表現する熱烈なファンもいたほどです。一方のGPT-5については「創造性がなく、まるでロボトミー手術を受けたみたいだ(人格を失ってしまった)」と辛辣に批判する声もありました。性能の良し悪しだけでなく、AIとの心の通い合いのような部分で評価が分かれてしまったのです。

このユーザーの声がOpenAIを動かしました。リリースから数日で、サム・アルトマンCEO自らSNS上で「我々はGPT-4oのある部分を皆さんがこんなにも気に入っていたとは見誤っていた。GPT-5の方が多くの点で優れてはいるけれど…」と投稿し、旧モデルを引き続き利用可能にする方針を表明したのです。実際、ChatGPT Plusユーザー限定ではありますが設定から「レガシーモデルを表示」をオンにするとGPT-4oが選べるようになり、晴れて“復活”を果たしました。OpenAI公式フォーラムやコミュニティの強い要望が実った形です。

とはいえ、この旧モデル復活もいつまで提供されるかは未定とのこと。以下の記事によると、OpenAIは「利用状況を見守りつつ旧モデルをどれくらいの期間残すか検討する」と述べています。期間限定のお試し救済措置の可能性もあり、#keep4o運動の参加者たちはまだ気が抜けない状況です。

興味深いのは、こうしたユーザーの反発に対し、一部では「それでもGPT-5は優れているのに何故?」という意見もあることです。技術系メディアのレビューではGPT-5の性能向上を高く評価するものもあり、実際あるテストでは7つの現実的なお題でGPT-4と対決させたところ、「勝負にならないほどGPT-5が圧勝だった」という結果も報告されています。論理的推論やスタイルの使い分けなど、客観指標ではGPT-5が上回るケースも多いのです。

それでもなお「GPT-4oを返して!」の声が止まないのは、性能数値では測れないユーザー体験の部分なのでしょう。実際、ある開発者は「GPT-5は確かにコーディングや数学ではSOTA級だが、雑学やメール文といった普通のユーザーが求める用途では改善を感じられない。これではアップデートの価値が伝わらず不自然だ」と指摘しています。さらに別のユーザーは「GPT-5というよりGPT-4 Enterpriseと名付けるべきだ。Microsoft(企業利用)のニーズを満たすよう設計されていて、AIセラピストや対話相手としての魅力は重視されていない感じがする」とユニークな意見も述べています。要するに、GPT-5はお硬い企業向け、GPT-4は家庭向けの親しみやすさと見る向きもあるのです。

事実かどうかはさておき、こうした様々な声が上がるほど、今回のGPT-5は賛否両論を巻き起こしています。ではOpenAIは今後どう対処していくつもりなのでしょうか?

GPT-4oへの戻し方

先ほどお伝えしたGPT-4oへの戻し方もここで説明しておきます!

1. 左下のアイコンから設定を選択

こちらの設定をクリックします。

2. 「レガシーモデルを表示」を選択

3. モデルの選択で「GPT-4o」を選択

このようにすることで、GPT-4oを復活することが出来ました!

今後のOpenAIの対応に関して

前述の通り、ユーザーからの強い要望を受けてGPT-4o(旧モデル)の暫定復活という素早い対応を取ったOpenAIですが、それだけではありません。アルトマンCEOは「ユーザーによってGPT-4oとGPT-5のどちらを良いと感じるか意見が大きく異なる」と認めた上で、今後はGPT-5単体で様々なパーソナリティやカスタマイズができる方法を模索していると明かしました。具体的には詳細未発表ながら、ユーザーが望む応答スタイル(例えばより共感的・フランクなモードや、逆に厳密でフォーマルなモードなど)を選択できる機能を検討しているようです。まさに「GPT-4的な人格」をGPT-5上で再現する工夫と言えそうで、これが実現すれば#keep4oの人々も少しは納得するかもしれません。

また、技術的な改善点も進行中です。GPT-5リリース当初、特に無料ユーザーにはリクエスト回数など利用制限が厳しめで「使いづらい」との声もありました。しかしOpenAIは「Plusユーザー向けにGPT-5のレート制限を2倍に緩和する」とアナウンスし、実際に応答速度や利用回数の上限が引き上げられつつあります(私も数日ぶりに使ったら明らかにレスポンスが速くなったと感じました)。舞台裏でも細かなアップデートが続いているようで、「GPT-5はローンチ時より賢くなってきている」とも述べられています。

OpenAIとしては今回のユーザーの声を真摯に受け止め、**「GPT-5をよりユーザーフレンドリーに磨いていく」**姿勢を打ち出していると言えるでしょう。最終的な目標は、旧モデルに頼らずともGPT-5一つであらゆるニーズを満たすこと。そのために裏でモデルの改良や機能追加を急ピッチで進めているはずです。私たちユーザーとしても、フィードバックを発信しながら気長にアップデートを見守ることが大切かもしれません。

ちなみに、OpenAIはGPT-5公開と同じ2025年8月に、自社のオープンソースLLM「gpt-oss」もリリースしています。こちらに関しては、弊社別の記事でも詳しく紹介していますが、クローズド戦略を貫いてきたOpenAIが4年ぶりに重量級モデルの重みを公開したことで業界を驚かせましたが、これはコミュニティと協調しつつ安全なAI開発を進める意図が背景にあります。GPT-5とは直接関係ありませんが、こうした動きからもユーザーや業界の声を汲み取ろうとするOpenAIの変化が感じられます。GPT-5も、より開かれた柔軟なAIへと進化していってくれることを期待したいですね。

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GPT-5は非常に強力な相棒になってくれるはずです。新しい機能や仕様変化に最初は驚くかもしれませんが、学習するのはAIだけでなく我々ユーザーも同じ。上手に付き合っていきましょう。

まとめ:GPT-5とうまく付き合うには

GPT-5は確かに強力で賢いAIです。論理力や専門知識の面では歴代最高と言える性能を見せつけてくれます。一方で、その優等生ぶりが「なんだか味気ない」と感じる人がいるのも事実で、GPT-4のファンたちによる回帰運動まで巻き起こりました。記事内でも紹介したように多くのユーザーがGPT-5に戸惑い、旧モデルの人間味を惜しむ様子は、AIが単なる道具でなく人に寄り添う存在になりつつあることを示しているのかもしれません。

幸い、OpenAIもこうした声を無視せず、GPT-4oの期間限定復活やGPT-5の個性調整機能の検討など、ユーザー体験を向上させる方向へ動き始めています。今はまだ移行期ゆえの混乱もありますが、時間とともにGPT-5もブラッシュアップされ、かつてのGPT-4のような“親しみ”まで兼ね備えた存在になってくれることを期待しましょう。

結論として、GPT-5は「使いこなせば最強だけど、現時点では好き嫌いが分かれる新モデル」と言えます。ぜひ皆さんも実際に触れてみて、自分の業務や創作に合うかどうか確かめてみてください。もしGPT-5の応答がしっくり来なければ、遠慮なくフィードバックを送ったり、あるいはGPT-4o(Plusユーザーなら)を併用するのも一つの手です。AIも人と同じく日進月歩で成長していきます。最新モデルとの上手な付き合い方を模索しながら、生成AIとの共創をこれからも楽しんでいきましょう!


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